というのは、イタリアは石畳の国。何百年もの歴史が染み込んだ石畳には、色々な種類があり、例えば重量感たっぷりの大きさで白っぽい長方形の石、レンガのような大きさの光沢のある黒い石、小さめの正方形キューブ型の石などなど。でも、どの石畳も歩きにくい。歩きにくいだけでは済まされず、石の間に踵が取られて、ヒールの踵を何度ダメにしたことか。イタリアでヒールなどでお洒落にキメたい時は、とことん車を利用するべきで、歩く距離を抑えることがポイント。
イタリアの石畳に関する問題は、基盤が整備されないまま、その上に石を敷いていくことから凸凹道が出来てしまうのですが、それだけではなくて、メンテナンスを怠っているうちに石が割れて凹んだり、石が列から外れて飛び出してきた後には、ぽっかりと穴が開いてしまったりして、サイクリストやバイカーには致命的な状態、車にも大きい穴にバウンドしたりして車のホイールが歪になることも多々ありで、イタリアでの走行は障害だらけ。石自体は半永久的、一方で道路は毎日の多い交通量や天候からの多大な影響を受けているわけで定期的なメンテナンスが必要なわけです。
ところで、石畳のメンテナンスにおいて、気が遠くなるような作業だと思ったのが、石ひとつずつに番号を記しながら石を取り外していき、基盤工事が終わったら記した番号に従って石を一つずつ並べて戻していくこと。この作業は、大きい石の石畳だけでなく、小さめのキューブ型の石にも施されます。そうする事によって、本来あった模様が正確に再現されるのです。
さて、アスファルトを敷いた道路を増やしたのが、ミラノ。けれども、質の悪いアスファルトが敷かれている、と聞いています。そのせいなのか、侵食された箇所に部分的にアスファルトを流し込んで穴を埋めたような修復があったりして、アスファルトの道路も、石畳と同じくらい凸凹していたりします。聞いたところ、道路工事やアスファルト塗装は、一番見積もりの安い会社に任せるのが通常だとか。どうりで、すぐに修復が必要になるわけです。
昔、ローラーブレードをプレゼントされて、一緒に滑りに行こうと誘われた時に、
道路事情がこんな悪い国でどの道を滑るのかと思ったら、最高に滑りやすいのはミラノの超中心地サとの一言だけをもらいました。確かに、ミラノの中心地は至る所に大理石が敷かれていて、すべすべしていて滑りやすく、しかも、ブティックのイルミネーションまで輝いていて、それは考えてもみなかった新鮮な驚きと体験だったのでした。ミラネーゼも観光客もまばらになった夜分に、ローラーブレードを着用して、ドゥオモの周りの大理石の上を滑り回ったことは、大人にはわかってもらえない何か秘密めいた経験をした子供のような気分を味わったのでした。