入国審査は不要で気がついたら入国していたという次第で、使用言語はイタリア語、通貨もユーロ。でも言い換えれば、そこは一応「外国」なのです。
例えば、世界で一番小さな国と呼ばれるバチカン市国。
ローマ市内の一角に存在し、たったの0.44平方キロメートルの土地の国。一国であるにもかかわらず大統領もいなければ首相もいないのですが、その代わり教皇が存在します。なぜこんなにも小さな国が誕生したかと簡単に言うと、イタリア国王を含めイタリア政府と旧時の教皇の不和と断絶が続いていたところ、怒って引き篭もっている教皇の場所を教皇の国にしたらいいでしょう、とムッソリーニ首相の提案が打開策として受け入れられ、そこから一気に関係が改善されて、世にも不思議な世界最小の国が生まれたという経過なのです。
さて、もう一つの独立国家は、サン マリノ。
リグーリア州にあるセボルガは、独立国を宣言して強引にセボルガ公国と自称しているのだとか。私が訪れた際はそんな歴史を知りもせず、リグーリア海からなだらかな車道を5、6キロ登ったところで石畳の小さめの石が美しく敷き詰められた中世の「村」にたどり着いて感嘆した記憶が。結局、宣言しても独立とはそう簡単には認めてもらえないもので、セボルガ公国は自称公国で留まっているのだそう。
セボルガ公国よりももっと強烈なのが、独立国では無いにしろトスカーナ州にあるマプスロンという地域。マプスロンの誕生や歴史はともかく、車の通行を禁止し、それゆえにアスファルトは取り除いてしまい、砂埃が舞い上がる砂利道だらけ、テレビ番組の放映内容のレベルの低さが悪影響を及ぼすという事で、テレビが見られないようにしてしまったとか。
探せば探すほど、独立または独自の共同体のような地域が出てくるのがイタリア。