そんなエコ問題を意識して、ペットボトル普及以前の習慣にまた戻って、水筒を利用するようになった人も多いのではないでしょうか。
私の記憶では、日本には公共用に水飲み場が施設や公園などに必ず設けられていたように思います。足レバーを踏んだり、蛇口を手で捻ると水が飛び出し、放物線を描くように水の線が落ちていくのが見ていても面白かった日本の水飲み場の仕組み。
イタリアではどんな水飲み場があるのでしょうか。ローマ市内では、大理石で作られた噴水が至る所にあり、壁に埋め込まれた大理石でできた獣の口からは、飲み水が流れたりしていて、ローマ市民の生活に水の存在がいかに密なのかが伺えます。水飲み場は、ナゾーニと呼ばれていて、大きな鼻を意味しているそうです。その飲み水は、いつでも誰でも飲めるように24時間年中無休で流れています。
一方、ミラノの水飲み場。
ミラノはナゾーニでは無くて、ヴェドヴェッレ(Vedovelle)と呼ばれる水飲み場が設置されていて、こちらでも1年中24時間 飲料水が流れています。ヴェドヴェッレとは未亡人という意味で、水が蛇口から細めに緩やかに流れる様子が、悲しみに涙して跪いた未亡人を思い起こさせる、という事なのです。同じ水飲み場でもミラノではちょっとしっとりしたネーミングなのは、ローマに比べると曇り空が多い地域であることが影響しているのではないでしょうか、、、
さて、環境問題、資源不足などがどの国でも課題になっている今日、年中無休で流れ続けるこの飲み水が黙って見過ごされる筈はありません。
が嬉しい事に、無駄に水を流し続けている仕組みでは無いそうです。水を常に動かして続けて、水道管、配水場、浄水場設備などに停留することなく鮮度と品質が保てるようにシステムされているそうです。
つまり無窮で水を常に動かし続ける機能によって細菌の形成や繁殖を防ぐことが出来るとのことです。
更には、未亡人の涙のように外に出された水は、下水道を通って浄化施設に到達して、そこで浄化されてから地域の田畑の灌漑に利用されているとのこと。
しかも、この未亡人は、計算に基づいた場所に設置されているのです。水道網の行き止まりの分岐点の近くに設置することによって、水道管内に時々貯まってしまう空気が水と共に外に出されるという仕組みになっているのだそう。水道管内に貯まってしまう空気が、その空気圧で水道管を破裂させてしまうのを、未亡人のお陰で回避できるのです。
ミラノ市内には、650もの未亡人たちが跪いて泣き続けているのですよ。