• 2025.09.01
  • ドッグフレンドリーなミラノ
イタリア・ミラノと聞くと、ファッションの街、高級ブティックや洗練されたデザインが思い浮かぶかもしれません。けれど、実はミラノは「犬と暮らすのにとても優しい街」としても知られているのをご存知ですか?
ミラノでは、多くの人が愛犬と一緒に生活していて、日常のあらゆる場面で「犬と一緒」が当たり前になっています。たとえば、バール(カフェ)やレストラン、電車や地下鉄などの公共交通機関でも犬連れはOK。入り口に「犬お断り」のサインを見かけることは、ほとんどありません。
スーパーやショッピングモールでも、小型犬ならカートに乗せて一緒に買い物をしている姿をよく見かけますし、公園には犬専用エリア「エリア・カーネ(Area Cani)」が整備されていて、ノーリードで思いっきり走り回ることができます。
さらに近年では、条件付きではありますが、犬を連れてスーパーに入ることができる店舗も増えてきました。たとえば、「犬専用カート」に乗せる、またはキャリーバッグに入れておくなどのルールを守れば、食料品売り場にも入店できるスーパーチェーンもあります。Conad や Carrefour といった大手スーパーの一部店舗ではすでに実施されており、飼い主と犬が一緒に安心して買い物を楽しめる環境づくりが進んでいます。


これは衛生管理や店舗のポリシーによって条件は異なるものの、「犬は屋外に繋いでおくもの」という考え方から、「家族の一員として同行する」スタイルへと、社会全体の価値観が移行している証と言えるかもしれません。確かに、犬の学校や犬を躾けるコースが普及していて、犬の教育にも熱心です。
また、ミラノ市は動物愛護にも力を入れており、犬の飼い主には一定のマナーや責任が求められますが、その分、犬たちが社会にきちんと「市民」として受け入れられている空気があります。たとえばバスや電車に乗る際には、大型犬も口輪をしていれば乗車OK(追加料金なし!)。動物病院やドッグサロンの数も非常に多く、犬向けのイベントやフェスティバルも頻繁に開催されています。
私が初めてミラノを訪れたとき、犬を連れている人が堂々とホテルのロビーや駅の構内にいる様子に驚いたものです。「ここでは、犬も家族として完全に受け入れられているんだな」と実感しました。
日本でもペットブームが続いており、最近は犬同伴OKのカフェや宿泊施設も増えていますが、やはりまだ「例外的なサービス」としての扱いが主流かもしれません。確かに、ミラノはイタリアでもそういう意味で特別らしくて、ミラノから一歩外に出ると、近郊の街では犬に対する意識が違っていることに気が付きます。ミラノでは「犬が一緒なのは当たり前」という文化が根付いており、その違いを肌で感じることができるのです。
ヨーロッパ旅行を考えている愛犬家の皆さん、ぜひ一度ミラノを訪れてみてください。おしゃれな街並みとともに、犬にも人にも心地よい時間が流れるミラノで、特別な旅の思い出がきっとできるはずです。

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地にソロとアンサンブルの演奏活動中。クラシックからポップスまで幅広いジャンルのレパートリーを持ち、イタリアの人気コメディアンの番組にバンド出演中。

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