イシク・クル湖の南岸にあるボコンバエヴォ(Bokonbaevo)に至る道を通るたびに、まるで時間を遡っているような気持ちになります。湖は長年この地を見守ってきた証人のようにたたずみ、峰々は厳かな姿で私たちを見下ろしています。そして突然、馬にまたがりイヌワシを腕に乗せた男性が現れます。その姿は、気難しい猛禽類を連れているというより、眠そうな子どもを抱いているかのように穏やかです。
キルギスでは、イヌワシを使って狩りをする人を「ビュルクッチュ(Bürkütchü)」と呼び、イヌワシはまさに彼らの相棒と呼ぶにふさわしい存在です。「ワシ狩り」と聞くと、イヌワシが飛び回ったり舞い戻ったりするのを見物して拍手し、最後にみんなで土産を買いに行くといった見世物的なパフォーマンスを思い描く観光客が多いのですが、実際にビュルクッチュを間近で見ると、羽を持つ者と不屈の人間の心を持つ者という、二つの野生の魂の間にある強い結びつきを感じます。
細部に目を向けると、分厚いグローブや自信に満ちた馬の姿、そして一日たりとも気を抜かない警備員のように全方位を見渡して絶えず頭を動かすイヌワシなど、至る所に物語が宿っています。イヌワシの頭に被せた目隠しが外された瞬間、場の空気が変わるのを感じるでしょう。イヌワシは演技をしているのではなく、場を見定めているのです。正直なところ、値踏みされているのはイヌワシではなく、私たちのほうではないかとさえ思えます。
ワシ狩りの伝統は、サルブルン(Salburun)と呼ばれる遊牧民の狩猟文化と結びついています。イヌワシ狩り、弓を使った狩猟、そしてタイガン犬(Taigan)による狩りといった、古くから伝わる要素で構成されています。サルブルン・フェスティバルは、この伝統を誇り高く、目に見える形で伝えるイベントです。開催地のボコンバエヴォには、ワシ狩り以外にもレスリングや馬上曲芸、音楽、工芸品などを目当てに何百人もの観客が集います。まるで遊牧民の世界が一堂に会したかのような、活気あふれるお祭りです。
古来よりキルギスや周辺のステップ地帯では、イヌワシを馬上から放ってキツネや狼などの大型野生動物を狩っていました。いわば、風と肉体に刻まれた歴史のようなものです。ワシ狩りを目にすると、これは単なる民俗文化ではなく、様式美を備えた「生きるための術」だったということを再認識せずにはいられません。
「今でも実際にイヌワシを使って狩りをしているのですか?」と聞かれた時には、こう答えることにしています。「イヌワシの目を見てください。伝統をそれらしく演出することはできますし、衣装をレンタルすることもできますが、あのタカの眼差しは演技ではありませんよ。」
サルブルンを観覧した人は、撮影した写真だけでなく、遊牧民の生活に対する新たな尊敬の念を抱いてその場を後にすることでしょう。草原での暮らしは失敗が命取りになりかねませんから、遊牧の暮らしが正確さと忍耐強さ、恐れを知らぬ心を育むのです。運がよければ、長老が「良い鳥だ」と短く呟くのを耳にするでしょう。キルギスでは、この言葉はスタンディングオベーションにも匹敵する最大級の賛辞なのです。
- 2026.04.22
- サルブルン-キルギスの伝統的狩猟文化
