- 2017.08.10
- ハリウッド映画そのままの衣装展
ロンドンには博物館やアートギャラリーがたくさんありますが、その多くは年中無料だったり、ホワイトナイト(眠れぬ夜)という夜間無料デーが月に1度以上あります。この街ではあらゆる種類のおもしろい展示、イベント、文化活動に事欠きません。このイギリスの首都で最近、ハリウッド映画の世界を詳しく見ることのできるとてもユニークな展示がありました。「どんな映画でもキャラクターを作り上げるのは衣装」という女優のメリル・ストリープの言葉があります。ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館では最近、映画の主人公の衣装を通じて映画シーンの背景をたどる、偉大な名作映画展が開催されました。100着以上におよぶアイコニックな衣装が展示・解説されているのですが、衣装や映画の詳細に着目しただけでなく、衣装デザイナーの仕事についても詳しく説明されていました。この展示では、登場人物に真実味を与える衣装の影響力の大きさを実証することを狙いとしています。衣装には単なる服装以上の意味があります。登場人物がスクリーンの中で身につけている衣装は、例えばその人物がどこからやって来てどこへ向かうのかといったことを、セリフを発する前からすでに物語っているのです。また、映画の成功とはオスカーを受賞することだけでなく、登場人物や彼らが身につけた衣装、映画の内容が人々の記憶にずっと刻まれ続けることも含まれています。この展示では、映画シーンで使用され、このような形態のアートの歴史を築いてきた衣装や小道具に加えて、映画のセットやシーンも一部再現されています。エイリアンの展示 記憶に残る展示物の中には、『フォレスト・ガンプ』でトム・ハンクスが履いた靴や、ガラスケースの中から来館者をじっと見つめるターミネーターのマスクなどもありました。展示会場を歩き回ると、誰もが見たことのある映画に関するものばかりですし、すべての映画は見たことがなかったとしても、いくつかは必ず知っているものなので、精通しているような気分になります。2012年にこのイベントが好評を博したことから、市議会はハリウッドの特別許可を得て、こうした衣装や小道具をハリウッドの映画スタジオから借り受け、先月行われた第2回目の展示を主催することを決めたわけですが、チケットはあっという間に完売しました。他ではないこの待望のイベントは、最も有名なハリウッド映画の衣装の展示に特化したもので、会場はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館でした。対象となった登場人物は100人にのぼり、その服飾品はどれも彼らの美しさを認識・称賛させるものばかりです。これらの衣装や小道具は、個人が所有していたり、博物館や映画スタジオなどが所蔵しているものです。100年を超えるアメリカ映画の歴史を網羅していて、『アバター』のような3D映画の代表作にみられる驚異的な衣装デザインをもたらしたテクノロジーの出現など、映画の変遷も映しだしています。熱狂的なファンを持つ衣装もたくさん並んでいて、『タイタニック』の映画セットでケイト・ウィンスレットが着たドレスや、『オズの魔法使い』でジュディ・ガーランドが身につけた衣装などもありました。注目に値するものとしては、『風と共に去りぬ』の美しいスカーレット・オハラが着用したドレスや、『インディ・ジョーンズ』の衣装がおなじみのムチと帽子とともに展示されていました。スーパーマンのコスチューム また、『マリー・アントワネット』でソフィア・コッポラが身にまとった豪華な衣装があるかと思えば、チャーリー・チャップリンがモノクロ映画で着ていた衣装まで飾られていました。展示は昔の映画と特殊効果を駆使した現代映画に分かれていて、現代映画の展示ではダースベーダーのヘルメットが、スーパーマンのコスチュームやスパイダーマンのパワードスーツとともに特等席に配置されていました。さらに、私の大好きなホラー映画専用の特別コーナーも用意されていました。ホラー映画の展示で記憶に残ったのは、『エイリアン』の不気味な頭部(本当にリアルでぎょっとします)と『13日の金曜日』のジェイソンのマスクでした。『13日の金曜日』に登場するマスク