現代的で、みんなの身近にあって、社会を表現するこのストリートアートには、誰にでも理解できるという利点があります。
おそらく、だからこそグラフィティは街の魅力の一つとなってきたのでしょう。ロンドンはこの革命的な変化を起こした代表的な街の一つですが、これはバンクシーやスティックなど、革新的で挑戦的な作品を披露する場としてこの街を選んだアーティストたちがいたからなのです。
ストリートアート (1)
ストリートアート (2)
ストリートアート (3)
すでにこれまでの投稿でお気づきの方もおられるように、実は私はストリートアートの大ファンなんです。
そのときも言いましたが、当然ながら、良い作品で合法的な作品に限ります。
私のイチ推しのエリアは、もちろんイーストロンドン。ストリートアート作品が特に多い地区です。
なかでもショーディッチは、古くからの工業地帯であり評判のよろしくない地区で、グラフィティが一つのアートとして認められるかなり前から建物の壁という壁を壁画が埋めつくしていました。
けれども、ロンドン市内の中産階級化が進むのとあいまって、また一部にはストリートアート作品の出現もあって、イーストロンドンは時と共にアートや文化を求める人たちの拠りどころとなっていきました。
ショーディッチ地区の作品
ここでは街なかに紛れ込んでこの地区ならではの雰囲気に浸り、心ゆくまでストリートアートを楽しむことができます。ブリックレーンはもちろんのこと、ハイストリートなど、豊かな壁画作品があふれるストリートを探訪するのもお勧めです。
世界屈指の活気と刺激あふれるストリートアートシーンを誇るロンドン。その評判に大きく貢献しているのは間違いなく、風刺的な作品で知られるストリート・アーティストのバンクシーです。その素性はいまだ知られぬまま、これまで10年以上にわたり数多くの作品を生み出してきました。
バンクシーの作品には政治的・社会的なものが多く、世界中の街路や壁、橋に描かれてきました。
なかでも、社会への非難をうたう独創的な芸術作品は主にここロンドンで定期的に発表されています。ただし、当の作品の多くはもはや全く見ることができないか、あるいはごく一部分しか見ることができなくなっています。誰かが落書きをして破壊したり、シティカウンシルが消してしまったり、あるいは個人が自分のコレクションにするために取り外されたりしているからです。
彼の作品の一つがフィッツロヴィア地区の建物の壁にあります。
「IF GRAFFITI CHANGED ANYTHING, IT WOULD BE ILLEGAL(もしグラフィティで世の中が変えられるのなら、禁止されているはずだ)」とアルファベットの大文字で書かれたフレーズの下にネズミが立っています。
このフレーズは過去に女性参政権運動で言われた言葉「If the vote changed anything, it would be illegal.(もし選挙で世の中が変えられるんだったら、選挙を禁止しているはずだ)」をもじったものだと知りました。
この壁画は今も見ることはできますが、あちこちタギングで上書きされて元の作品が見づらくなっています。このほか、ウエストエンド地区の中心部の大きなオフィスビルの壁面にもバンクシーの作品を見ることができます。
ビルの2つのフロアをつなぐ部分の側面にあり、女性がショッピングカートごと屋上から落ちてくる様子が描かれています。
バンクシーの狙いは消費主義の危うさを警告することにありました。
2011年に描かれた本作は、かなり損なわれてはいますが、今もまだ実際に目にすることができます。
さらに、カムデン地区のリージェンツ・カナルのトンネルの脇にも彼のグラフィティがあります。
こちらの作品はロンドンの労働者が他のグラフィティ・アーティストの作品を上書きしている様子を描いたものです。
実はこれ、今は亡き伝説のグラフィティ・アーティストであるキング・ロボとバンクシーとの間でグラフィティ戦争が繰り広げられた場所に描かれたものなので、特に有名な作品なんですよ。
バンクシーの作品 (1)
バンクシーの作品 (2)