• 2023.01.27
  • ウェールズで食文化を体験
クリスマス休暇中、初めてウェールズで数日間を過ごしました。
延び延びになっていた旅行でした。旅ではその土地の文化に触れることがとても大切で、最も手っ取り早い方法は地元の料理を体験することだと思います。
特に、寒くて雨がよく降る冬のこの季節は、あちこち観光したり移動したりするのは大変ですからね。
ウェールズではイングランドとは全く違う食の伝統に出会えます。
私にとっては驚きで、それも嬉しい驚きでした。
三方を海に囲まれたウェールズはシーフードとボリューム満点の料理が特色で、その多くは農民が食べる庶民的な料理です。
昔ながらのケルトの伝統料理にも出会えますし、定番のフィッシュアンドチップスのような、現代的な誰もが知る料理にもお目にかかれます。

私が一番驚いたのは、海藻を主な原料とする「ラバーブレッド」(Laverbread)でした。
ご存じかも知れませんが、ウェールズ料理は貧しい農民たちの食事を起源としています。ラバーブレッドは、手に入る食料を何一つ捨てずに食べなければならない困窮した暮らしから生まれた料理で、こうした工夫は人々の暮らしに大いに役立ちました。まず、海藻を煮てからオートミールと混ぜ合わせて生地を作り、メインの料理として、あるいはパンにのせて食べます。
ウェールズでは公用語の保護にとても力を入れており、ウェールズ語で書かれたメニューを見かけることも少なくありません。
代表的なものに「カウル」(Cawl)があります。ウェールズ語で「スープ」を意味し、今や国民料理として知られるウェールズの代表的なスープ料理です。
決まった食材はなく、毎年地元でとれる旬の野菜を使って作ります。
野菜の入ったもの、肉の入ったもの(通常は子羊肉)など、いくつかの種類が楽しめます。
とても人気のある料理で、雨や風の日に食べると体が温まります。

また、マーケットばかりでなくレストランやカフェでも見かける代表的なストリートフードで、旅の合間に食べるお弁当にもぴったりの食べ物があります。ウェールズの食をまさに象徴する料理「ウェルシュ・レアビット」(Welsh Rarebit)です。
トーストしたパンに溶かしたチーズ(通常は地元産を使用)をのっけただけの、シンプルでおいしい一品です。
チーズは主にチェダーを使い、まずパンを焼いて次にチーズをのせ、オーブンで焼きます。おいしそうですよね!

また、ウェールズ料理の大切な食材ケンヒーネン(cenhinen、複数形はcenninケニン)についてもご紹介したいと思います。
少し気になる名称ですね。ウェールズ語で「リーク」と「ラッパ水仙」の二つの意味があり、実はどちらもウェールズの象徴とされています。
リークはウェールズ料理では重要な食材で、スープやシチューのほか、メインディッシュの副菜としてもよく使われています。

ウェールズ料理の大切な主役をもう一つ。それはチーズです。
ウェールズ、ひいてはイギリスの国全体がチーズの名産地で、中でもスティルトンとチェダーは間違いなく絶品です。
ただ、ウェールズで忘れてはならないのはケアフィリチーズ(Caerphilly cheese)です。カーディフからすぐ北にあるケアフィリという町の名前にちなんでこの名がつけられました。
牛乳から作られるハードタイプの白色のチーズで、最初はケアフィリで作られていましたが、今や南ウェールズ全域で生産されるようになりました。

次にデザートですが、特においしかったのがウェルシュ・ケーキ(Welsh cake)です。
アフタヌーンティーと一緒に出されることが多い伝統的なお菓子で、ビスケットの部類に入ります。
バターの風味が特徴的な円盤型のお菓子ですが、こちらも、食べ物を一切無駄にしないという当時の庶民の工夫から生まれたものです。日持ちのするドライフルーツやレーズンを混ぜ込んでいるので腐りにくく、しばらくはパントリーに保存しておけます。

ウェールズをお薦めする理由はもちろん、ほかにもいろいろありますが…すみません、やはりあの国の料理、私は最高だと思います!


旅先で出会ったお気に入りの一品、カウル

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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