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  • 2018.07.11
  • リグーリア式「バチェロレッテ・パーティー」
ここ数十年の間に、結婚を目前に控えた女性の通過儀礼として定着してきたのがバチェロレッテ・パーティー(結婚直前の女性のための独身お別れパーティー、別名ヘン・パーティ)です。時流に合わせて常に変化し、バージョンアップを繰り返してきたこのイベントは、結婚を控えたカップルにとって、もはや身近なトレンドの一つと言えるかも。
ところでこのバチェロレッテ・パーティー、ここリグーリア地方ではどのような変遷をたどったのでしょうか。
筋骨隆々の男性が巨大ケーキの中から現れて、新婦となる女性を驚かせるなんていうのは、すでに時代遅れの感あり。最近のバチェロレッテ・パーティーは、楽しいパーティー、盛りだくさんのグッズ、笑えるサプライズ、突拍子もないジョーク、愉快なゲーム、ドッキリ企画などを盛り込んで、大切な友達との時間を心ゆくまでエンジョイするもの、という位置づけになっています。


必需品の各種グッズ

かつては一晩中騒いで踊り明かすのが主流であったのが、おいしい料理とお酒、いい音楽とおしゃべりを楽しもうというスタイルに、少しずつ変わっていきました。ところで、もともとは「輸入」文化であるバチェロレッテ・パーティーの由来、ちょっと気になりませんか?

「バチェラーフッド(主に男性の独身状態)」という近代的概念が生まれたのはイギリスです。英国上流階級の子息たちには、結婚直前の時期に連れ立って、きわめて享楽的な一夜を過ごすという習慣がありました。それが現代になり、因習に染まらず開放的で、さりとて無作法ではない女性たちにも広まった結果、パーソナルで心あたたまる思い出の1ページを紡ぎ、ストレス過多とされる結婚準備の緊張感から新婦を解放してくれる一大イベントにまで発展したのです。


「ブライド・トゥー・ビー(花嫁になる人)」

一般的にイタリアでは、バチェロレッテ・パーティーを仕切るのは新婦の親友やメイド・オブ・オナーすなわち花嫁付添人の役目です。
花嫁になる女性は、「セーブ・ザ・デート(この日を空けておいてください)」と予告を打つ結婚式の招待状の中で、正式にパーティーの企画運営を親友に一任するのです(つまりサプライズ・パーティではないものの、主役の女性は当日まで演出内容を知らされません)。

簡素ながら印象的なパーティーを好む層もあるとはいえ、バチェロレッテ・パーティーを企画する立場ともなれば、そのプレッシャーは大変なもの。未来の花嫁が今までに参加したどのパーティーよりも盛大で楽しい催しになるように、新婦を祝福するためにブライズメイドたちや親族、友人関係が一同に会し、人生で最良の日(そう、結婚式までの人生では!)になりますようにと、新婦自身が夢見ているパーティーなのですから。


パーティー仕様の車のおめかしもバッチリ

主役の女性に対する親愛の情を形にして、結婚式を控えた新婦のストレスを和らげ、誰よりも親しい友人として新婦を心から祝福するのに、これ以上の機会はないでしょう。

複数の友人が花嫁付添人の「協力者」としてこの日の企画に参加し、「バチェロレッテ」のためのイタズラや仕掛けを担当することもあります。


パーティーでは記念品が贈られることも

パーティー当日、新婦の多くは結婚式に被るような短いヴェールをまとって登場します。厳かな様式美に人々の視線が集中するという点で、このヴェールの演出効果は絶大。友達同士で旅行に出かけるパターンもちらほらあって、これは最近とみに増えてきています。一緒に過ごせる貴重なひとときを少しでも多くしようと、週末のバカンスから長期の旅行まで、新婦の友人たちがセッティングするのです。イタリアからですと、例えば週末をギリシャやスペインで楽しく過ごすことも決して珍しいことではありません。
新婦の希望次第では、週末の旅先でヨットに乗るのもステキです。リグーリア州には、バチェロレッテ・パーティー専門プランを売りにする旅行代理店もあるんですよ。
未来の花嫁に美しい思い出と忘れがたい時間をプレゼントするバチェロレッテ・パーティーは、今や一つの習慣として広く親しまれています。
婚礼にまつわる言い習わしはこの土地にもたくさんあって、例えば「9月の花嫁はじきに未亡人になる!」という地域独特の諺があるため、リグーリア州では9月の結婚は縁起が悪いと言われます。

パールは涙に通じるから、結婚式には身に着けないと決めている花嫁もいます。それから、夫婦に富と繁栄がもたらされるよう、花嫁の靴の片方に硬貨を1枚入れるという習慣もあります。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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