• 2019.06.28
  • オーストラリアでビジネスを始める:その1
オーストラリアに来て日本との違いについて感じたことの一つに、オーストラリアではメインの仕事を持ちながら副業をしている人が比較的多いということです。私も建設会社の事務をしておりますが、細々とソイキャンドルの販売も行っております。会社の上司もオフィスワークをする傍らフィットネスインストラクターをしています。会社側が副業を行ってはいけないと規則を定めているところも少ないのではないでしょうか。以前の会社でもオフィスワークの傍ら、蛇のブリーダーをしているという人もいました。日本だったら本業の妨げになるからなどで副業をすることを会社側はよく思わないかもしれませんが、こういうところもオーストラリアはオープンで自由ではないかと思います。どうして副業をしている人が多いかというと、オーストラリアでは資本金が無くてもだれでも個人事業主になりビジネスをスタートできるのです。条件はオーストラリアで滞在、就労できるビザがあり、タックスファイルナンバーという日本のマイナンバーのような番号を取得していれば事業を行うために必要なABN(Australian Business Number)が取得でき、ワーキングホリデービザや学生ビザの方でも物やサービスを販売することができるのです。タックスファイルナンバー、ABNはオーストラリア政府のサイトから申し込み用紙を記入して申請することができます。タックスファイルナンバーの取得は義務ではありませんが、これ無しで働いた場合は、所得に対して最高税率が課せられてしまいます。タックスファイルナンバーは一人に一つだけの番号が与えられ、一生同じ番号のままですが、ABNは登録後、事業を辞めたりした場合はキャンセルすることができます。そしてまた必要な時に再度登録することができます。一人でABNを複数もっている人もいれば、逆に一つのABNで複数の職種を持つこともでき(後者のパターンのほうが多い)、また個人名以外にトレーディングネームとして、すでに利用されている名前でない限り、好きな会社名を自分で登録することもできます。オーストラリア政府のABN LookupというウェブサイトでABNの番号を検索したり、個人名、会社名を入力してABNを検索することができます。出てくる情報は、いつ登録されたか(登録年月日)、ビジネスが行われている場所(州の名前)、10%の物品、サービス税を登録しているかいないか、いつ情報を更新したか等を見ることができます。ABNは事業を始める人が取得するものですが、場合によっては、例えばビューティシャンやマッサージセラピストなどは店に所属をしている下請け人という形で働くことが多いため、ABNの取得が必須条件となります。サブコントラクターと呼ばれる下請け職人や契約社員も同様に個人のABNを使って会社で下請け人として働いたりします。請求書を発行する際は請求書にABNを記入します。年商が75000ドル以上の場合はオーストラリアの消費税10%(GSTと呼ばれる物品、サービス税)を支払う義務があります。その場合はお客様からも10%の消費税込みの価格でお支払いをいただかなくてはなりません。75000ドル以下の場合は任意でGSTの支払いを登録するかしないかを決められます。

簡単にステップを説明すると、
タックスファイルナンバーを取得 → ABNを取得 → 会社名を登録 このステップを踏めばABN登録後から物やサービスが販売でき、販売が成立した場合に請求書を発行し、収入を得てビジネスを進めていくことができるのです。


実際に使われているタックスインボイス(請求書)

販売する発行先と受け取り先のABNを記入する欄があります。GSTが発生する場合もあるため、GST(10%の物品、サービス税)を記入する欄も設けられています。

特派員

  • 菅沼 千栄子(旧姓 名倉)
  • 職業会社員

2000年に渡豪。日系旅行会社勤務等を経て、2014年から現地建設会社に勤務。休日は、趣味の一つであるソイキャンドル作りやビーチウオークを楽しんでいます。当地のレアな生活情報をお伝えしたいと思います。

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