ゴールドコーストから車で約50分内陸に向かうと、世界遺産に指定されているスプリングブルック国立公園があります。美しいビーチや海のイメージのゴールドコーストですが内陸に入るとガラッと雰囲気が変わります。公園といっても総面積は約61.56㎢にもなり、国立公園内は3つのセクションに分かれています。各セクションには様々なトレッキングコースや観光名所があり、中でもナチュラルブリッジ地区には、風化によってできた橋があり、土ボタル(土の中のミミズが光って蛍のような幻想的な光を出すことから土ボタルと呼ばれています)がいることでも有名でゴールドコーストの人気観光スポットの一つにもなっています。スプリングブルック国立公園の中で最も大きい地区であるスプリングブルック高原地区にはいくつもの滝があり、ここのトレッキングコースは観光客以外にも地元の人やオーストラリア国内から訪れる人々に人気のレジャースポットとなっています。ゴールドコーストからバイロンベイまでを一望できる展望台や美しい山に囲まれた絶景が見れる展望台や大きな滝が見える展望台などが所々にあるため、ドライブやバイクのツーリングなど山歩きをしない人もたくさん訪れています。この国立公園内には樹齢2000年~3000年の大木や、何億年も前から生息していると言われる古代植物やシダ植物が生息しています。巨大な岩も転がっているので、まるで恐竜時代のジャングルの中を歩いているような感覚になります。私はいつもは5~6キロの短いトレッキングコースを歩いていますが、今回は初めて17キロの長距離コースに挑戦しました。案内板には所要時間約6時間と表示されていて、ちょっと長いなと思いましたが、長距離コースはあまり行く人がいないので、静かな山道をのんびり散策するのもいいなと思い行ってみることにしました。ひたすら山道を歩くというよりは、所々に小川や滝があるので寄り道しながら歩いていけます。中でもお気に入りは滝の裏側を歩けるコースで、滝の細かい水しぶきが霧のシャワーとなって降りかかるのがとても気持ち良く、マイナスイオンもたっぷりと浴びることができました。このトレッキングコースは下りからのスタートで下まで降り切ってまた上って戻ってきます。下り上りと言っても道はなだらかで、途中の小さな小川や滝付近は土が濡れていて滑りやすくなっているので、そこだけ気を付ければ比較的歩きやすい道です。普通のスニーカーで問題なく歩けますし、中にはビーチサンダルで歩いている人もいました。長距離トレッキングに慣れていないため、コースの後半はさすがに疲れたというか飽きてきてしまいましたが、4時間弱で歩ききることができました。すれ違う人とは皆笑顔で挨拶を交わし、黙々と歩いたというよりは周りの景色を見ながら途中写真撮影をしたり、滝の水につかったり、持って行ったおにぎりを食べて休憩しながらのんびり歩き、ゆっくりペースでも6時間もかからず帰ってこれました。
昨年の大規模な山火事をご存じだと思いますが、ここスプリングブルックエリアの山火事でもたくさんの貴重な植物や野生動物を失い、家屋などにも甚大な被害をもたらしました。何千年もかかって育った大木も瞬く間に灰と化してしまいました。これから残された貴重な自然や野生動物を私達がどうやって守っていくか、この災害を通して皆で考え、他人事ではなく一人でも多くの人が自分ができることを行動に移して実践していければいいと思います。
巨大な岩と岩の間が通り抜けできるようになった自然にできた道です。
樹齢何千年という大木たち。
この日は滝にかかった綺麗な虹を見ることができました。
こんなにくっきりと浮かび上がるのも珍しいです。