巡礼の目的も含むこの若者の祭典は、ローマ法王を中心に開催され、教会の普遍的な位置を表現するもので、信仰と教会への帰属意識を祝うものです。
実際、世界中の人々や国家間の平和や友愛を促進することを目指しており、また開催国では国民の信仰、希望、慈善活動に対する刺激ともなっている。
歴史を見ると、1984年のミサで、教皇ヨハネ・パウロII世が青年たちをローマへ集うように呼びかけ、ローマに25万人の若者が集まったのが始まりのようです。翌年、ヨハネ・パウロII世は「受難の主日」を「ワールドユースデー」と定められ、2年、3年、または4年ごとに、教皇が選んだ都市でこの世界大会が開催されるようになる。そして今年、リスボンで行われることになったのだ。
ローマ法王、いわゆるカトリック教のイベントといえど、ワールドユースデーは特に宗教に関わらず、全ての人が参加可能だ。
さて、どうなったかと言うと、この期間、ポルトガルになんと150万人の人が集まったのだ。この数は、ポルトガル人口の約15%になるので、どれだけ凄い数だかお分かりだろう。
多くの若者や聖職者は、ポルトガルの家庭にホームステイするのだが、我が家にも去年の夏から受け入れの依頼がきていた。我々にとってはこの期間は忙しい期間なので、受け入れはしなかったが、知り合いは、2名の神父をホームステイさせたと言っていた。心優しく、信仰のあついポルトガル人の多くは、こうして積極的に若者を受け入れていたのだと思う。
期間中の混雑を推定して、企業の多くは、期間中は労働者に自宅勤務を命じたらしく、若者ボランティアも広く募集していたが、参加費含む費用を支払ってのボランティアだったらしい。
ATM画面も教皇
ローカルペーパーも教皇
知り合いは、リスボンの中心で行われたウェルカムセレモニーに参列し、リスボンでは未だかつてないほどの人混み状況を知らせてくれた。特別にワールドユースデー用のバスの運行もあり、また多くは自国の国旗を掲げてセレモニー会場まで行進した。
会場では、マリーザがファドを歌い、教皇フランシスコが全員に語りかける。大歓声が起こる。若者の心は高鳴り、魂が一つになった瞬間だったろう。
Welcom to WYD と書かれてる
もちろん、この混雑から避難する家庭もいた。仕事が自宅勤務になったのを利用して、家族で田舎の方で何泊かの夏休みだ。
私もあまり関わりのない地域にいるので、大した影響はなかったのだが、ポスターなどの告知が至る所にあって、この祭典が只事でないのを感じた。
面白いと思ったのは、スーパーマーケットに行った時、ワールドユースデーに参加する若者用にサンドイッチなどのランチパックが安価で準備されていたこと。並んでいるサンドイッチは特別安いが、祭典参加者であれば、証明書を見せるとサンドイッチの他に、スナック、ドリンク等を受け取れる仕組みになっていた。
きっと他でも同じようなサービスを提供していただろう。それが理由かは分からないが、小売店では売上が伸びなかったと、残念な声が上がっている。若者&祭典といえど献身なクリスチャンが対象となれば、水は売れるがビールは出ない。また、エコロジストが多いため、マイ水筒を持参していることも多いだろう。ベンフィカやスポルティングのサッカー試合前に、浴びるようにビールを飲む若者とは異なるのだ。
特別にランチパックがあった。。
この祭典で私が一番気になったのが、セキュリティー面である。私の友達の犬のトレーナーは数ヶ月前から、期間中で働かせる犬のトレーナーとして呼び出されたらしい。ガードも警察も研修を受け、準備していただろう。でも目立った程ではなかった。そして結果何も起こらなかった。
過去にはイスラム派勢力がテロ的行為をしたが、なぜこのような宗教的なイベント目当てに動きを起こさないかが不思議である。
ポルトガルでは過去に聖ヨハネ・パウロが銃撃を受けたことがある。我々が知らないだけで、各所ビルの上からスナイパーが見張りをつけていたのかもしれない。