年末年始営業のご案内
12月31日(火):18:00終了
2025年1月1日(水):全館休業
※各店舗の年末年始の営業についてはフロアガイドよりご覧下さい。

  • 2017.01.24
  • 「スコッチ・ウィスキー、荒野が生む金の滴」
スコッチ・ウィスキーに触れずしてスコットランドを語ることはできません。 正確には、スコットランド人が言うところの「e」無しのスペリングのwhiskyのほうです(whiskeyとうっかり書いてしまうと、スコットランド人はすぐ気分を害してしまうのです!)。
whiskyかwhiskeyかという綴り問題はともあれ、ウィスキーとは、麦汁という発酵した小麦から作られる蒸留酒の1種です。
スコットランドを訪れた際には、たくさんある蒸留酒製造所のうちの1箇所でも見学すれば、さまざまな特徴と風味をもつこのお酒の歴史や加工技術などがわかるので、ぜひお見逃しなく。

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ウィスキーに関して言うと、一般にスコットランドはローランド、ハイランド、スペイサイド、アイランズという4地域に大きく分けられます。
スコットランドに住む最大の楽しみの1つに、車ですぐの場所にある、観光エリアから外れた小規模の蒸留所を見つけ歩くというものがあります。でも時々思い直して、大規模小売店チェーンに卸している有名メーカーに足を向けるのも良いでしょう。なぜなら有名メーカーには新たな発見が秘められていることがあるからです。
そこで、スペイサイドの中心部、静かなダフタウンの町近くにあるこのグレンフィディック蒸留所をご紹介します。ダフタウンは、スコットランドのムーア(荒野)の中心部にある町で、アバディーンとインヴァネスの間に位置しています。
グレンフィディックはシングルモルト・スコッチウィスキーのブランドとして、またトップレベルの売り上げを誇ることでとても有名です。僻地にあるバーでさえ、棚にはグレンフィディックのボトルがよく置いてあるので、グレンフィディック・ウィスキーは需要に応えるべく大量生産された低品質のお酒なのかとずっと思っていました。でも事実はまったく異なります。私はこの蒸留所を見学して4種類のウィスキーを試飲したので、このウィスキーの人気の訳はその高い品質にあるのだということを自信を持って断言できます。 グレンフィディックはゲール語で「鹿の谷」を意味し、ここのシングルモルト・ウィスキーは昔ながらの製法で作られ、そのマイルドな味わいが愛好家に高く評価されていますが、この蒸留所ではさまざまな工程や仕上げ方法で蒸留酒製造を行っています。
グレンフィディックはこの地方にある数少ない家族経営による蒸留所の1つです。企業経営ではなく、1886年にダフタウンの渓谷の、まさに今現在あるその場所にこの蒸留所を創立したグラント家が今なお経営のすべてを管理しています。
この蒸留所は素晴らしく、一部、大きな工場建屋もありますが(大量生産に必要)、見学センターは、歴史の中核を成す、植物やブドウの木々に囲まれた石造りの蒸留所のまわりに設置されています。見学ツアーはこの歴史的中心部から始まり、プロのガイドが蒸留所の歴史を説明してくれます。そして、屋内に入って上質のシングルモルトの製造を見学する前に、製造に欠かせない伝統的な工程を解説するビデオ(数ヶ国語で対応)を見せてくれます。
シングルモルト製造における工程には、次のようなものがあります。
・製麦
・浸麦
・醸造
・発酵
・蒸留
・熟成
大麦は、時間管理された一連の工程を通過したのちウィスキーとなります。ビールなどの酒類と同じく、ウィスキーも閉ざされた修道院で作られたのが始まりのようで、たぶんそのために、時間管理やしきたりのある製造工程がなんとなく儀式的なのかもしれません。
この「金」の液体が製造される作業場は、工場というよりも、奇跡が起こる神聖な場所であるかのように扱われています。
多くの現代的な蒸留所と同じく、グレンフィディックの周囲に大麦畑はなく、見学ツアーは、糖化が行われ、糖分を湯で抽出して酵母に加える作業を行う場所からスタートします。 でも、一番の見どころはツアーの最後の方にあるのです。他のツアー客はみな最後のウィスキー試飲をしようと見学センターに向かっていましたが、私と友達は事前に予約をすると、そこから貯蔵庫に行けることを知っていました。そこでは新しい熟成方法を開発するため、さまざまな生産地や特性の樽を使った熟成の研究が行われているのです。大きな貯蔵庫で、色々な形や大きさの樽が積まれていました。

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私はウィスキー通ではありませんが、スコッチウィスキーはよく飲むので、飲めばその温かみや香り、飲みやすさがわかります。なかには、梨や干しブドウ、リンゴといったフルーティーなウィスキーもありますし、そのほかにもオレンジピールといったシトラス系の香りをもつものもあります。
今回のブログは、グレンフィディック蒸留所に絞って書きましたが、どこの蒸留所にも店舗や見学センターがあり、入場料や試飲はたいてい無料です。また、多くの蒸留所では工場見学もでき、製麦から瓶詰めまでの全製造過程が見られ、見学料もまた無料です。
伝統的なスコットランドの蒸留所の作業場に染み渡るその紛れもないアロマを感じれば、改めてその職人技の真価を認めることになるでしょう。そしてプロのガイドが、この香り高い琥珀色のお酒の1滴1滴に込められた精力と忍耐について解説してくれます。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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