帰ろうと思えば帰れなくもないのですが、隔離、検査、煩雑な手続きに加えて家族を感染させる危険性まで考え合わせるとややこしいことになりそうなので、今年のクリスマス休暇はオタワで過ごすことにしました。
ということで家族に会うことができず、航空便でプレゼントを送らなくてはならないので(またはAmazonで注文して配送)、本当に寂しく感じています。でも何より悲しいのは、プレゼントを開ける瞬間に家族の顔に浮かぶ表情が見られないことです。というのも、私はいつもプレゼントを贈る相手にとって特別な、その人ならではというものを見つけるようにしているからです。
この悲惨な年にあっても、幸いにもここカナダではクリスマスらしいクリスマスが訪れています。
例年クリスマスの時期には、オタワは魔法の世界に変わります。これはイルミネーションが家の外を明るく輝かせてくれることや、この季節にはほぼ毎年雪が降り積もって、よりいっそう特別な雰囲気をかもしだしてくれるおかげなのです。
カナダの人はクリスマスに飾り付けをすることでよく知られていますが、家の中だけでなく外側の装飾にまでこだわっていて、まるで最も美しい装飾を競うコンテストのようになっています。
クリスマスツリー以外でどこの家庭にも必ずあるものといえば、暖炉に吊された靴下でしょう。この靴下はクリスマス・イブの夜にキャンディーやお菓子でいっぱいになります。
子どもたちはクリスマスの前の週にサンタクロース宛に希望のプレゼントをお願いする手紙を書くのが慣わしです。私は最近になって、この靴下を吊す習慣はサンタが家から出ていくときに煙突の中でうっかりコインを落としてしまった、という伝説から生まれたということを知りました。ということは、靴下が暖炉に吊してあるのはプレゼントを入れるためではなくて、サンタが煙突から出ていくときに落とすかもしれない小銭を拾うためのものだったんですね。
面白い伝説ですね!
子どもたちが家々を訪ねて周ってクリスマス・キャロルを歌い、代わりにお菓子やコインをもらうのも慣例です。今年はそんなことをする子どももそう多くないだろうと思うのですが、ハロウィンにお菓子をねだりに家々を訪ね歩いている子どもたちもいたので(マスクを着用しソーシャルディスタンスをとりながら)、同じようにすればできるのではないでしょうか。
カナダのクリスマスにまつわる物語や伝統をご紹介しましょう。
例えば、クリスマス・イブにはお化けや狼人間といった超自然的存在が出現し、動物はこの夜だけ人間と話をすることができると言われています。
ノバスコシア州では、クリスマスにBelsnickelを行うのが伝統になっています。これは、サンタクロースを模したおかしな衣装をまとってご近所さんの家に行ったり、家族を訪ねて行ってまるでサンタの来訪といった風にびっくりさせたりすることです(残念ながら今年は難しいですね・・・)。
カナダのクリスマスにまつわる人物はサンタクロースだけではありません。一部の地域には、新年のプレゼントを届けるマザー・グーディー(Mother Goody)も存在します。
カナダではみんなクリスマスにエッグノッグを飲むのが大好きなのですが(私もその一人です)、クリスマスの時期にしか売られていないこともあって、いっそう特別な飲み物になっています。
これはヨーロッパではさほど知られていませんが、アメリカとカナダではクリスマスシーズンの伝統的な飲み物です。材料の配合、スパイスや少し加える隠し味など、各家庭にそれぞれのレシピがあり、秘伝のレシピとして代々受け継がれているのです。
エッグノッグはお酒、卵黄、砂糖とスパイスがあれば簡単に作れますよ。
ある友人の話によると、元々はラム酒やリキュール(グリューワインに加えるような)ではなくワインが使われていたそうですが、のちにワインやビールに代わって、当時北米で最も普及していてかつ一番安価だったラム酒が使われるようになったそうです(エッグノッグはブランデー、コニャック、さらにはテキーラまで、どんな蒸留酒ででも作れるんです)。
私の家ではこんな風に作っています。
牛乳 500ml
生クリーム 250ml
ブランデー 100ml
ラム酒 100ml
砂糖 150g
卵 5個
シナモンパウダー
作り方
卵白と卵黄を分けます。卵白をしっかりと泡立て、脇に置いておきます。
卵黄と砂糖をボールに入れ、電動ミキサーで泡立つまで混ぜ合わせます。
ラム酒、ブランデー、生クリーム、牛乳を加え、さらに5分混ぜます。
ここで泡立てておいた卵白を加えて、ゴムベラで底から持ち上げるようにして混ぜながら、他の材料としっかりと混ぜ合わせます。
エッグノッグをグラスに注ぎ、粉末シナモンを表面に散らします。
楽しいクリスマスを!