以前住んでいたカナダでは、おそらく「裏メニュー」なるものは存在していなかったので、覗いてみることにしました。「裏」という響きには非常に興味をそそられますし、どんなものか気になりますからね。アクセスすると、そこには予想通り通常のメニューには載っていない商品が紹介されていました。
この時点で俄然興味が湧いてインターネットでリサーチしてみたところ、アングラな裏メニューの世界を発見したのです。
多くの人にとっては真新しいものでもないのかも知れませんが、私にとってはまったく馴染みのない存在でした。
チェーン店によっては、私のように公式サイトを見ただけで注文できるカスタムメニューの情報が得られるところもあり、裏メニューをそれほど「秘密」にはしていません。一方、裏メニューが謎めいた表現で紹介されていて、常連客でさえ好奇心がくすぐられる店もあります。
裏メニューを注文すると、定番の品に一風変わったカスタマイズや週替わりのアレンジを加えた料理を味わうことができるのです。
インターネット上には、ビギナーでも各チェーン店で注文できる裏メニューを紹介する、専門サイトもいくつかあります。中には人気のメニューよりもヘルシーな商品もありますが、恐怖のカロリー爆弾のようなメニューがほとんどです。よく行く店にも裏メニューがあるかどうかを知りたいなら、「Hack the Menu」というサイトにアクセスしてみてください。サイトの名前には、あえて「コンピューターシステムに不法に侵入する」ことを意味する「ハック(Hack)」が使われています。特にファストフード店で自由にカスタマイズして注文することはそれほどハードルが高く、多くの人にとってメニューの限界への挑戦はなかなか大変なのです。
カスタマイズといっても、その店で過去に「限定版」として販売されていたものを単に組み合わせたものや、かつての名物メニューで今は販売されていないものがほとんどです。他にもよくある例を挙げると、あるチェーン店のファンが愛してやまない、とっておきの組み合わせや、名前が付けられるほど有名な組み合わせ、顧客からのリクエストが最も多い人気のカスタマイズメニューなどがあります。
というわけで、裏メニューを注文せずにはいられなくなり、家から注文せずに直接店に足を運んだのでした。サービススタッフが料理の注文を取りに来た時、なぜだかわかりませんが、「自分たちが何かの秘密クラブの一員でもあるかのように、特別な方法で注文の品を運んできてくれるかもしれない」という考えが頭に浮かびました。実際は特に何も起こらず、彼女はがっかりするくらいに普通の皿の上に乗った料理をただ私のテーブルに置いたのでした。
友人にこのことを話したところ、「裏メニューなんだから秘密であるべきなのに、秘密でも何でもなくなってしまっているし、裏メニューの中にも人気メニューがあるんだよ」とのことでした。
「アニマル・スタイル・バーガー」も人気メニューの一つで、店員に「シークレットコード」を伝えると、片面にマスタードを塗って焼いたビーフパティを挟んだハンバーガーを作ってもらえます。
裏メニューが誕生した背景には二つの大きな理由があるようです。
まず一つ目は明らかにマーケティングを目的とした理由で、毎度代わり映えのしないメニューを提供するファストフードチェーンに顧客を引き付けるため。
それから二つめは、食事制限やアレルギー、倫理的な理由で食べられるものが限られている人たちが商品を選びやすくするため、そして「一味違ったメニュー」を希望する人に応えるためでしょう。
名の知れたアメリカのコーヒーチェーンのように、メニューのカスタマイズが無限にある場合もあります。なので、裏メニューは公式メニューの邪魔をすることなく、誰でもインターネット上で情報を集められるようになっているんですね。