- 2016.01.18
- 対照的な大晦日日本の「除夜の鐘」とドイツの「SILVESTER ジルベスター」
ドイツのデュッセルドルフには欧州最大のお寺があります。それがドイツ惠光日本文化センター(EKŌ-HAUS)境内にある惠光寺。日本庭園が美しい惠光寺では、日本のように毎年大晦日に除夜の鐘を聞くことができます。
ご存じかもしれませんが、日本のお寺では12月31日の夜に除夜の鐘が「108回」撞かれる行事があります。人間はだれしも、食欲、財欲、色欲、名誉欲、睡眠欲などの欲をもっています。仏教ではこの欲が私たちを「煩わせ、悩ませるもの」と考え、「来年こそは煩悩に煩わされないように」という願いを込めて煩悩の数である108回鐘をならすそうです。また、家族が健康で多幸が訪れるよう年明けから神社やお寺を詣でる初詣が一般的ですが、ドイツでも多くの参拝客が訪れており、静粛な新年を迎えることができます。
その一方で、ドイツでは聖なるクリスマスが終わったとたん、ジルベスター(大晦日)のために花火を買いに走る姿が見受けられます。ドイツでは通常は打ち上げ花火等の使用が規制されているため、日本のように個人で夏に花火をすることはなかなかできません。しかし、12月31日の夜から元旦の朝までだけは解禁になるため、ここぞとばかりに花火が打ち上げられるのです。
「音楽、花火、シャンパンで乾杯!」ドイツの大晦日は日本と対照的で、とても賑やかにパーティをして祝います。特にこの時期、好んで食されるのが「ラクレットRaclette」。ラクレットとはフランス語で「削るもの」「引っかくもの」を意味します。各自小さなフライパンの上にチーズや好きな具材を入れて焼き、溶けたチーズを木べらで削いでじゃがいもなどに絡めて食べます。今日は、ラクレットチーズ、シンケンハム、小さなじゃがいも、パプリカ、パイナップル、ピクルス、オリーブなどを用意しました。
長いクリスマスの代わりにドイツの新年祝いは短く、ほとんど1月2日から仕事です。日本のお正月のように帰省して過ごしたり、三が日をお節料理を食べながら正月気分に浸るといった雰囲気がないのが唯一寂しいところです。
日本では、様々な行事も含めて神道と仏教が混在しています。他の宗教では考えにくいことではありますが、日本では神仏混交が一般的なのです。ここ惠光寺では、2013年より現地に住む子供達の成長を祝うため、七五三参りも行っています。(2015年実績70家族)
私たち日本人は昔から八百万の神を信仰してきたことから、様々な人種、宗教を受け入れ、平和を愛することを美徳としています。
2015年のドイツは100万人以上の難民問題で、ドイツ国民の不安要素が一挙に増えました。様々な人種、多様な宗教、言葉の問題など、今後更なるグローバル化が進むことにより、乗り越えなくてはならない壁は高くなってきていると感じています。
子どもたちの将来のため、私たち日本人ができることを考えながら、2016年は争いがなくなり、世界が平和になる一年になるよう祈りたいと思います。