ハーブティーはドイツ語でKräutertee(クロイターティ)と呼ばれ、コーヒーや紅茶と同じように一般的に飲まれています。風邪を引いたときや、胃腸の調子が悪いときなどは、カモミールティーなどをゆっくり飲むだけで症状が解消されることから、ドイツ家庭の健康を支える自然療法のひとつと言えます。
Kamille(カモミール)
安眠・リラックス作用がある、ヨーロッパで最も歴史のある民間薬ハーブとして親しまれています。(但し、キク科アレルギーを持つ人は注意)
健胃・発汗・消炎作用があり、風邪、頭痛のときや婦人病などにも用いられることもあります。
Fenchel(フェンネル)
フェンネルは甘い香りと苦みが特徴で、消化促進・消臭に効果があるとされ、ドイツでは赤ちゃんも生後2週間からフェンネルティーを飲むことができます。
またフェンネルは、香辛料、ハーブとして食用、薬用、化粧品などに古くから使われています。
Pfefferminze(ペパーミント)
ペパーミントは、西洋では古くから軽い病気の薬として、健胃、制吐、抗痙攣、発汗を促して体を冷やす、病後の回復などの目的で使われています。とりわけ、胆管、胃腸を落ち着かせ、殺菌化作用、抗ウイルスにも効果があるとされます。また、精油は偏頭痛、頭痛、神経痛にも効果があり、風邪の時の吸引にも効果があります。
Salbei(セージ)
セージは古くから薬効に富む薬草として有名です。特に殺菌力、消化促進、解熱、浄血、止汗作用に優れているので、風邪の時や喉が痛い時によく飲まれます。(妊娠中の女性は注意)
また肉の臭み消しとして料理にも使われ、ソーセージや加工食品の香辛料としても用いられています。
Thymian(タイム)
古代ギリシャではタイムは勇気を鼓舞するもの、また中世には悪夢を防ぎ安眠を助けるものとされたため、タイムティーは神経性の病気に効果があるという説があります。また、ぜんそくや気管支炎の痰切りにも良いとされています。
料理では肉類、スープ、シチューの香り付けにしばしば使われます。
Lindenblüte(リンデン花)
解毒作用や発汗作用があり、風邪の時に良く飲まれます。また神経をリラックスさせる効果があるため、夜寝る前に飲むのがお薦めです。
Weißdorn(山査子 さんざし)
心臓の働きを強化し、血行促進に効果があります。
Melisse(メリッサ、レモンバーム)
主な効能は神経をリラックスさせるため、心臓神経症、不眠症、焦燥、癇癪などに効果があるとされています。昔からハーブティーとしても広く飲まれ、慢性の気管支炎や熱、頭痛にも効くそうです。
症状別薬用ハーブティー
症状別に分かりやすい薬用ハーブティー。どんなハーブが入っているのか興味があったので、調べてみました。(これらの中には薬用効能があるため、12歳以上より飲用可能で、妊婦や授乳中は控えた方がよいそうです。5〜10分ほど蒸らしてから、ストレートまたは砂糖やハチミツを入れて飲用します。)
● 風邪のとき(Erkältungs Tee)
・ Weidenrinde(ヤナギの樹皮)
・ Lindenblüten(リンデン花)
● 咳、気管支炎(Husten- und Bronchial Tee)
・ Lindenblüten(リンデン花)
・ Anis(アニス)
・ Thymian(タイム)
● 喉、咽頭(Hals- und Rachen Tee)
・ Eibischblätter(ビロードアオイの花)
・ Eibischwurzel(ビロードアオイの根)
・ Süßholzwurzel(セイホクカンゾウ)
・ Anis(アニス)
● 胃腸(Magen- und Darm Tee)
・ Kamillenblüten(カモミール)
・ Pfefferminzblätter(ペパーミント)
・ Kümmel(キュンメル)
● 肝臓、胆嚢(Leber- und Galle Tee)
・ Pfefferminzblätter(ペパーミント)
・ Löwenzahn(タンポポ)
・ Javanische Gelbwurz(ウコン)
・ Schafgabenkraut(ノコギリソウ)
● 腎臓、膀胱炎(Nieren- und Blasen Tee)
・ Orthosiphonblätter(クミス・クチンの葉)
・ Hauhechelwurzel
● 脂肪の消化(Fettverdauungs Tee)
・Löwenzahn(タンポポ)
東洋医学には、自己の免疫力を強化することで、自然治癒力を伸ばす考えから「漢方」があります。西洋医学は、現代医学(人が人を治す物理的な治療)を想像しますが、ドイツには「ホメオパシー」という考え方もあります。この薬用ハーブティーは、長い歴史から受け継がれた経験、知恵に基づいた副作用のない安心な自然療法です。