- 2015.04.09
- 「モナ・リザ」に触れる?
現在、プラド美術館では一風変わったミニ展覧会がひっそりと開催されています。展示作品数はわずか6点、ベラスケス、ゴヤ、エル・グレコなどの作品に加えて「ラ・ジョコンダ、 即ちモナ・リザ」があります。これら作品になんと手で直に触って鑑賞する展覧会、その名も「Hoy toca el Prado(今日はプラドをさわりましょう)」です。視覚に障害のある人達に少しでも絵画に近づいてほしいと企画されました。
写真1:「モナ・リザ」と「ラ・ジョコンダ」(ルーブル美術館公式HPより)
「モナ・リザ」と言えば、花の都(なぜ花?)パリのルーブル美術館。その所蔵美術品の質や数、また入場者数から言ってもまさに世界一の名に恥じない人類の宝物ですね。その中にある膨大な作品のなかでも絵画中の絵画とまで称されるのが「モナ・リザ」です。正式名称は、ルーブル美術館のHPによると「フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻、リザ・ゲラルディーニの肖像」だそうです。多くの謎につつまれたこのレオナルド・ダ・ヴィンチの傑作。今までに沢山の模写やパロディー化された作品が制作されてきました。
「モナ・リザ」の模写と言えば、情熱の都(なぜ情熱?)マドリードのプラド美術館が所蔵する「ラ・ジョコンダ」。模写の中でも最も早い時期に描かれたとされています。本家と比べても4cmほど幅が広いだけ、ほぼ同じサイズです。作者はまだ特定されていません。「モナ・リザ」を描くレオナルドの傍らで、弟子が同時に制作したとの説が有力です。1750年以降その背景が黒く塗りつぶされ、長らく注目を浴びませんでした。近年、修復によってルーブル本家のものと同じ背景が現れました。2012年、ルーブル美術館は、ダ・ヴィンチ展開催の際に「ラ・ジョコンダ」をご招待し、同時に両作品を展示したそうです。
写真2:ミニ展覧会のお知らせと目隠し眼鏡
写真3:触れる「ラ・ジョコンダ」
触れる「ラ・ジョコンダ」。こちらの作品はオリジナルではなく複製です。作品横には点字の説明があり、希望者にはオーディオガイドも貸し出しています。ご丁寧に視覚に問題の無い人用の目隠し眼鏡まで用意してあります。ベラスケスやゴヤの展示室から聞こえる喧騒をしばし忘れる静謐な雰囲気の中、撫でて名画を鑑賞する展覧会でした。
写真4:ツアーの方たちも鑑賞中
<追記1>
ミニ展覧会は2015年6月28日までの開催、プラド美術館の入場券(一般14ユーロ)で鑑賞可能。
<追記2>
復元された東京駅丸の内駅舎前、これまた復元された三菱一号館美術館にて、2015年10月10日より2016年1月31日まで、『プラド美術館展』が開催されるそうです。残念ながら、「ラ・ジョコンダ」と触れる複製はお二人とも実家待機。