このような景色が広がっている断崖です。
じつはこの話、誤解と誤訳から出来上がったものなんです。この岬の近くのOrtigueira村では毎年“ケルト・フォークフェスティバル”が開かれケルト音楽の伝統のあるヨーロッパ各地よりミュージシャンが参加していますが、2010年スコットランドからやってきた人たちが近くにある此処Loibaの断崖絶壁を訪れた際にその絶景に感激して“The Best Bank of the World” ”世界一の絶壁“ とベンチの背もたれに落書きしました。その英語のBankをスペイン語のbanco(ベンチ)と直訳してしまったのです。こちらが一代目のベンチです。有名になって多くの人が訪れるので手入れもこまめにされていて落書きもその都度再現している様子です。
暖簾分けした二代目ベンチでのんびりしていたら、突然の海風に追い出されかけている日本のおば様。
マドリードの自宅近くの小公園にあるごくごく普通のベンチです。ご参考まで
いかにも誇大広告じみた呼び名ですが、この素朴なベンチを含めた景色全体が都会の喧騒を忘れさせ、大自然に包まれる幸せな時間を過ごせますし、また人によっては“来し方行く末”に思いを馳せるきっかけにもなるという事で、”世界一の腰掛“が広まり、2013年には北欧の有名な家具製作販売会社のテレビ・キャンペーンにまで登場しました。この素敵なベンチをドローンで空撮した素晴らしい動画がこちらです。https://vimeo.com/148284618もし日本でしたら、このような海に面した断崖絶壁の岬の突端は、サスペンス2時間ドラマのラスト・シーンで真犯人、先ほどまで犯人扱いされていた容疑者、官憲司法関係者さんたちが全員集合、今までの経緯を復習してから、謎解き、事件の真相解明の後、おっとり刀で駆け付けたパトカーに無事真犯人を引き渡して目出度し目出度しのパターンに最適なロケーションとなるでしょうね。差し詰めスペイン版『東尋坊』。