写真1
写真2
写真3
写真4
写真1~3.は店内に設置された商品注文タッチパネルです。開始画面から始まってオタクお祝いバーレルやらオタクお祝いバーガーなどエキゾチックな文言がならんでいます。パネルに貼り付けられた日本語のキャッチコピーには下部に小さな文字でスペイン語の解説があります。(AQUÍ PONE, MÁS O MENOS, QUE EN JAPÓN ES TRADICIÓN COMER KFC EN NAVIDAD)訳すと (ここに書いてある大体の意味は、日本ではクリスマスにKFCを食べるのが伝統です。) 写真4.はOTAKUキャンペーンの内容です。
ここでのOTAKU、日本ですと特定の分野にのめり込んだ愛好家という意味で、マニア、フリーク、フェチ、~狂、とか様々な言い方で表現されていますが、とくにアニメや漫画、コスプレなどに代表される若者を中心とした文化の支持者という意味のOTAKUがスペイン人の理解の大半かと思われます。
YOUは何しに日本へ?というテレビ番組では外国人全般をyou と呼んでいますが、この場合は日本人、特に若者達とその文化全体をOTAKUと呼んでいる気配が感じられます。つまり現代日本文化を象徴する言葉として、全世界にチェーン展開するケンタッキー起源の揚げ鶏屋さんがクリスマスキャンペーンのテーマとしてスペインの若者受けするであろうOTAKUを採用したのでしょうね。もうフジヤマ、ゲイシャ、スキヤキ、トランジスターラジオは遠い昔となりました。
そしてそのOTAKUお祝いチキンの中身は期間限定で提供されるSALSA TERIYAKI 照り焼きソースをフライドチキンに使用することでした。そもそも鶏肉をバッター液に漬け込んだのち10種類以上のスパイスやハーブや香辛料等を塗り込んだり、小麦粉とまぜたりして、圧力をかけて揚げるという手の込んだ料理で、それ自体完成した味なのですがそこに甘辛のTERIYAKIソースを合わせてオタクに代表される日本的?を表現したかったのでしょう。写真4はOTAKUキャンペーンの内容ですが、この照り焼きソースをかければすべてOTAKUになる模様です。
ところで以前ご紹介したスペインのクリスマスの定番メイン料理は子豚や仔羊の窯焼きで、調理法はいたってシンプル、塩をした食材を窯で焼くだけで純粋に肉のうまみを味わうものでした。対象的なのが英国やアメリカでのクリスマスの定番、ローストターキー、ではないでしょうか。まず肉を柔らかくする液体に漬け込んだ後、香味野菜やバターなどを使って焼き上げ、グレービーソースやクランベリーソース等と一緒に味わうという仕掛けでいかにも晴れの日の料理という存在感がありますね。それと比べるとスペインの焼き物は塩して焼くだけの、料理とも言えないと思うほど素朴な代物です。しかしかえって誤魔化しの効かない、高度な調理技術と厳選された食材の質が要求されるのかも知れません。
写真5
写真5.は晴れのクリスマスディナーと言うにはそっけない素朴さですが、メイン料理となる乳飲み仔羊の窯焼きとトマト・レタス・玉ねぎのサラダで、ドレッシングはお決まりの塩と酢と油のみ。
素朴といえばサラダにしてもスペインでは事前に調合されたドレッシングは珍しく、通常はシンプルに食卓に置いてある塩、オリーブ油、酢だけをその場で味付けをします。その分量や和え方なども自己責任で行います。もちろん給仕してくれる方に頼むことも出来なくはないですが、定食の豚カツとキャベツには食べる本人がソースをかけるように、スペインの人はサラダの味付けは自分でするのが一般的ですね。
ここでスペインでのサラダの味付けに関する言い伝えを一つ。
『Para que una ensalada sea perfecta, han de intervenir 4 personas en su elaboración: alguien prudente con la sal, alguien generoso con el aceite, alguien tacaño con el vinagre y un loco para removerlo todo.』
『完璧なサラダを作るには4人の手が必要です。塩には慎重な人、油には気前のいい人、酢にはケチな人、そして気が触れたように全部をまぜる人。』