• 2017.03.30
  • 命がけ
幼少の頃、私はアメリカに住んでいて車で出かける時は緊張したものでした。なぜなら、今では信じられないのだけれど、その当時のアメリカ人の運転はとても乱暴で「もっと速く行けぇ!」と言わんばかりに後者の車がガンガーンとぶつけてくるのでしたから!信じてもらえますか?私自身も信じられなくて、私の記憶違いではないか、と何度も家族に聞き直したものでした。

20メートルおきに信号があるミラノ。ごく最近になってオートマチック車の便利さが評価されるようになり普及しました。それまでは、オートマなんて車じゃないと言いたげに、ミラネーゼ達は頑にマニュアル車を乗り回していたわけです。

ミラノでの運転は、実にハードです。
常に時間に追われているミラネーゼは、赤信号から青信号に変わったら機敏な発進は当たり前で1秒出遅れるなんて許されません。ポケーッとしていると後者の車から「モタモタするなー!」と攻撃的なクラクションが鳴らされ、それで済まされたらまだいい方でイライラしているかのように追い越していき、追い越し際に怒鳴ったり(聞こえないのですが、、、)不愉快なジェスチャーをしたりする人もいます。最初はそんなミラノでの運転が苦痛だった私にも、あっという間に「ミラネーゼの習慣」が身に付いてしまいました、、、

イタリアは路上駐車が一般で、その中でとても多いのが縦列駐車です。ミラノでは、最近でこそ個数ごとにパーキング用の枠の白線が敷かれているので、枠内に車をおさめればいいわけですが、その昔は長い枠の中に何台も縦列駐車する仕組みになっていたので、さて家に帰ろうかと車を止めた所に戻ってくると、場合によっては自分の車が前後の車に隙間なく挟まれてパーキングされてしまっていて、パーキングから出るために何回ハンドルを切る羽目になるのだろう、と思いながら運転席に乗り込んだものでした。

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前後の車のバンパーに、ゴンッゴンッとあてながらハンドルを何回も切って、パーキングから出ます。
そうなのです、、、イタリアでは、バンパーはバンパーの本来の役割を十分にこなしていてパーキングの際にあてるのは許されるのです。
最近はセンサーがついている車が多くなったお陰もあるのか、バンパーにぶつけてパーキングから出て行く光景はあまり見られなくなりました。

さて、イタリアには日本のような自動車学校はありません。
一般車やトラムが走行する路上で、初日からいきなり実習です。
カーレースをしているかのようなスポーティーな運転をするミラネーゼのミラノ市内で、人生初めて免許を取ろうとする人には、かなりの緊張が強いられ困難が待ち受けています。
助手席に座って運転を教えてくれる先生も、何と勇気のあることか!

それからイタリアには、奇妙な乗り物があります。
免許が不要な車。
おもちゃのような小さなこの車は、免許を取っていなくても運転が許されて、一般車に混じって車道を走行します。
極端に言って、交通ルールを知らなくてもいいと言う事です、、、さて、この不思議な乗り物はどれでしょう?

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特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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