• 2017.11.30
  • 農家を楽しむ
先日、同僚から沢山の柿を頂きました。療養中の親戚の頼みで、庭の手入をしに行ったそうで、柿の樹に沢山の柿がなっていたので放置しておくのは勿体無いと収穫したとか。「kakoはアジアが原産のフルーツでしょ?どうぞ」と言いながら柿が入った袋をドサリと私に渡しました。


「カーコー??」


ここでイタリア語の豆知識を一つ。
イタリア語において『i』で終わる単語は、一般的に男性名詞の複数形。
そして男性名詞の単数形は一般的に『o』で終わる。

おおそうか!と合点する読者の皆さんの感嘆の声が聞こえるかのようです。そうなのです、イタリアで柿とは複数の『kaki』で、単数は『kako』となるのです!



それでは「カコ」を有り難く頂きましょうと、一つ食べてみたら「苦〜い!」
どうやらイタリア人は渋柿という種類があるのを知らないらしい、、、
「あのねー、頂いた柿はシブカコだよー。生では食べないカコだよー」と説明しても、ピンと来ない表情で「私は日をおいて熟させて全部食べたワ」という同僚のサラリとした返事、、、
これ以上追及はしないでおきましょう。


本当はカコの話を書きたかった訳ではなかったのですが、カコの響きが強烈なのと、渋柿を沢山頂いたことが可笑しかったので寄り道をしました。で、本題は、というと、、、

私はミラノ市内に住んでいる都会人だとずっと思っていたのですが、ある日、「実は田舎に住んでいるのか?」と思わされた発見があったのです。近所に農家への道しるべの案内が幾つかあるのは見て気が付いてはいたのですが、自宅から意外な程の近距離に農家があるのです。



その農家では、他の農家と同様に新鮮な乳製品、野菜など様々な食料品を売っている他に、実に感じのよいサービスを行なっているのです。良質の美味しいお肉も売っているこの農家では、一人約500円をレジで払うと、そこの農家で購入した肉、野菜を外のバーベキューグリルで各自焼いて外で食べて行くことが出来るのです。必要最低限の調味料は勿論、ドリンクなど食事に必要なものは全て揃っていて、各自準備をして焼いて食べ終わったらまた同じくセルフサービスで各自が片付けて行くシステムになっています。





ミラノ市内は東京のようにマンションばかりです。バーベキューが出来るような庭を持つことは稀なので、天気の良い日に外でバーベキューを楽しみたい人には実に便利なサービスです。
たとえミラノで庭つきのマンションに住んでいるとしても、グリルが出す煙や臭いを憚られるような近所の存在もあるでしょうし、バーベキューの火起こしからグリルの掃除の手間暇も馬鹿になりません。

家族の絆が深いイタリアでは、週末に親子、兄弟、時には親戚中が集まって食事を共にする習慣があるので、ミラノから遠ざかることなく大勢で賑やかに開放感に浸って食事が楽しめる場所です。

私はこのバーベキューサービスをすっかり気に入ってしまったので、これから冬越しをしなくてはならないにもかかわらず、早く穏やかな気候が戻って来てバーベキューを大勢で楽しみたいと、既に春が待ち遠しいというわけです。
ちなみに、このバーべキューサービスは冬季に閉めることはなく1年中行なっているとか、、、いや、そうは言われてもミラノのジメジメした意地悪な寒さには負けます。


特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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