日本でしたら、ぐるなびで評価をチェックするのでしょうか。
それとも、高い信頼性を誇るフランス発祥のミシュランガイド?
イタリアでは、トリップアドバイザーの評価は庶民的で日常的に利用されていますが、ミシュランガイド イタリア版のような存在として、ガンベロ ロッソというグルメ専門の出版社が知られています。
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先日、そのガンベロ ロッソが主催するディナーに招待される機会に恵まれました。
それは、ミシュランガイド二つ星を持つミラノのレストラン「vòce」が、「ラマゾッティ」とのコラボによる新しい試みを披露するディナーでした。
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ラマゾッティと言っても、あの有名なセクシーなイタリア人シンガーソングライターではなくて、ハーブのリキュールで長い歴史を誇るリキュール会社のラマゾッティ。
このディナーで隣席したラマゾッティ社のブランド アンバサダーを務めるマッツァ氏は、インテリで頭からつま先まで身だしなみに気を使うモードな若い男の子。ラマゾッティのリキュールを世界に広めているのは彼なのです。ちなみに、この二つ星レストランのシェフ、ピザーニ氏もたったの27歳!
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こんな特別なディナー席なのだから、皆さんは、私がクオリティーのみならず夜景も売り物の高層ビルの最上階のレストランでのディナーを愉しんだのだろうと想像することでしょう。
が、ミラノには、東京や大阪のように高層ビル上階から夜景を満喫してディナーを、と言う習慣が無いのです。そう、今までは無かったのです。ミラノのある開発地区、CityLifeには少なくとも2棟の高層ビルが建設されて最後の3棟目も建設中ですから、ミラネーゼの最上階ディナー嗜好はこれから育っていくのでしょうか。
で、この二つ星レストラン「vòce」のロケーションはと言うと、スカラ座の目の前。もちろん地上階。イタリアの大手銀行が経営する文化財産コレクションを展示するアートギャラリーとたった一枚のガラスを隔てているだけなので、夕食をしながら、新古典主義のカノーヴァが造った大理石の彫刻芸術を鑑賞することが出来るのです。
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さて、このディナーの試みは、ラマゾッティのアマーロと呼ばれるハーブリキュールと同じくラマゾッティ社から出ている「Il Premio」と呼ばれるグラッパなどを色々な材料でブレンドしたカクテルを二つ星レストランのお料理とマッチさせて、約10名でテスターを行い議論や評価を闘わせるものでした。
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マッツァ氏が言うには、イタリアではワインが食事のお供をするのが主流なことから、カクテルの存在が希薄な上に「お料理に合わせたカクテル」という感覚が薄いのだそうです。事実、ラマゾッティ社のリキュール販売率が高いのは、イタリアではなくてドイツだとか。
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実際に、ラマゾッティのアマーロやグラッパのTVコマーシャルは、イタリアで見かけた記憶が無く、ドイツに滞在した折に見かけたような、、、
さて、そのディナーの感想はと言うと、各お料理に合わせたカクテルのコンビネーションは非常によく考えられていることが伺えて、アペリティフの際にもカクテルでは無くてワインに傾倒しがちなワイン派の私には、新鮮な体験でした。
食事に合わせたカクテル嗜好がミラネーゼに浸透していくか、今後の成り行きが気になるところです。
その出発点を祝う夜だったのでした。