• 2018.02.07
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ダイナミックな地形が好みである私をちょっと悲しくさせるのが、運河はあるけれど山どころか丘も無いミラノの町の平坦さ。

その平地の特色が助長させたのが、ミラネーゼの自転車利用。ママチャリことシティサイクルは、何代にも渡ってミラノに生まれ育った江戸っ子風ミラネーゼには生活必需品の一つでした。が、ここ数十年の間に自家用車の交通量が著しく増えてミラノの大気汚染は深刻化しており、車と自転車と歩行者においてその当時のバランスが崩れてしまったのが今日のミラノです。

さて、ファッションの最先端を行くミラノの町。お洒落なミラネーゼが最新の格好いい自転車を優雅に日常的に乗り回す所を皆さんは想像していらっしゃるでしょう。

とんでもない!

ミラノの自転車屋さんで一番売れるのが、今にも壊れそうなオンボロ自転車です。ミラノでは自転車の盗難も深刻な問題の一つであり、ミラネーゼは盗まれても惜しく無いそしてなるべく目立たない自転車を持つように心がけているのです。

そのミラネーゼと自転車の関係も変わりつつあります。ミラノを闊歩していて最近目につくのが自転車シェアリングの自転車。スマートフォンにダウンロードした専用アプリで近距離にあるシェアリング自転車を見付けて使用開始、乗り終わったら鍵を閉めて使用完了。正に「乗り捨て」。


近年、町の中心地では車の乗り入れを制限するための進入料金制度が設けられ、 車のカーシェアリングのサービスを拡大化し、変わりつつあるミラノ を肌で感じられます。ごくたまに自家用車でミラノ市内に入ると、前にあった路上駐車スペースがその地区の住民専用駐車スペースに変わっていたり、無くなっていたりしているので自家用車での市内訪問に不便さを感じさせられるところから、ミラノがどこに向かっているのかを察知します。街中に溢れる車の飽和状態ゆえに、生活スタイルを見直して変えさせられるところに来ていると思います。

私はカーシェアリングをよく利用するのですが、自転車シェアリングはまだです。どちらも画期的な素晴らしいサービスだと思います。カーシェアリングも自転車シェアリングにも大きく分けて二種類あって、先に生まれたサービスではステーションから乗り始めて最終目的地のそばのステーションに返却するシステム。後者のサービスは、ステーション皆無の自由自在の乗り捨て。


風で倒れたのでしょうか、シェアリングの自転車が横倒しになっていたり、乗り捨ての場所によっては次回利用者の出現があり得ないように思える辺鄙な場所だったり、壊れたのでしょうか、曲がったハンドルの自転車が捨てられたかのように何週間も放置してあったりします。その点カーシェアリングとステーション利用の自転車シェアリングは サービスケアが行き届いているような印象を与えるので、個人的には乗り捨てのサービスの方には疑問を持っており、サービス向上のためにはまだまだ課題ありと見ています。

近年、ミラノ市は自転車専用道路の建設に力を注いでいます。大気汚染の解消、走り易い道路、ケアされたシェアリングの自転車、盗難に最悩まされることなく、自転車の持つ良さを最大限に生かして健康的にシティライフを満喫したいものです。

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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