思い出のぞき窓/Window to the Past

東京大学大学院情報理工学系研究科 廣瀬・谷川研究室

現在の風景にその場所の過去の風景を重畳し，タイムトリップしたような体験ができるシステムです．カメラ映像の写ったタブレット端末を特定の地点にかざすことで，現在の風景にその場所の過去の写真をぴったり重ね合わせるように重畳表示します．過去の写真はタブレットを動かしてもその場所に張り付いているため，周りを見回しながら過去と現在の移り変わりを体験できます。
博物館や美術館，一般の人々の所有する史料的価値のある写真や映像が，バーチャルリアリティや拡張現実感といったメディア技術の発展により，その史料をより深く体験できる場所に行って効果的に鑑賞することが可能となりました．史料が場所的な制約から解放されることで，今までの博物館や美術館内では体験不可能であった新たな学びの可能性やより深い体験を実現できます．また博物館や美術館の過去の様子や普段では見ることのできない場所を見るなど，館内展示においても新たな体験の提供が可能になります．本システムは博物館や美術館等だけでなく，一般ユーザからも史料写真を収集し，館内外の幅広い場所で使用可能なプラットフォームとなっています。
2015年9月4,5日にオーストリアのアルスエレクトロニカにてワークショップを行い，50名を超える参加者にリンツ駅周辺の過去の様子を体験していただきました．2015年11月28,29日にはThe Lab.でのワークショップを行い，60名を超える参加者にThe Lab.の過去の展示や展示の裏側を体験していただきました．体験のログからより使いやすく，面白いシステムの実現を目指しています。

思い出のぞき窓
タブレットを通して，ある場所の過去の風景や壁の向こう側といった，普通では見ることのできない姿を体験できます。

思い出のぞき窓体験画面
過去の写真（白黒）が，それがもともとあった場所に貼り付けられている様子です．タブレットを動かしても，写真と現在の風景の位置関係は保たれます。

アルスエレクトロニカでのコンテンツ体験箇所
地図上にピンがマッピングされており，鑑賞者はこのピンの場所を訪れて鑑賞体験を行います。
地図上のコンテンツは一般ユーザが追加することも可能です。

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