• 2023.06.15
  • 酒蔵見学
前回ご紹介したアンダルシアの造り酒屋オスボルネOsborne社は自社の牛看板が還暦を迎えた2016年に酒蔵の一つを改造して記念館を立ち上げました。その名もToro Gallery トロ ギャラリーです。蔵が建てられたのが1841年といいますから建物自体が文化遺産的な場所ですね。そこではこの牛に関する歴史をたどりながら様々な展示物を鑑賞できます。


写真1

写真1は同じ敷地内にある現在も使用されている酒蔵です。シェリー酒の醸造に最適な温度、湿度や換気の環境を保つため、高い天井にして空間に余裕をもたせ、床には闘牛場でも使用されている、保湿と排水のバランスに優れたアンダルシア産のアルベロalberoと呼ばれる砂を敷き詰め、通路は散水すると気化熱で室温を下げる効果のある川砂利で覆われています。このように今でも電気空調設備などは使用せず、自然な環境の中で長年にわたってこの蔵に住み着いた酵母菌を大切に育てています。


写真2


写真3

写真2.は上述の使用中の酒蔵に隣接した蔵を改装したギャラリーの内部です。写真3.のギャラリー入口部分を見ると酒蔵時代のアルベロ砂と砂利道が残されている様子がわかります。


写真4


写真5


写真6

この牛看板が生まれる前は写真4.のような交通標識か?と見間違えるような地味な看板でした。写真5.はオスボルネ社から依頼を受けた地元の芸術家、マヌエル・プリエト氏が1954年に制作した牛の原画です。 これらの歴史的資料から始まり、多くの芸術家たちによって製作された牛がらみの作品などが並べられています。写真6.はスペインのみならず世界のトップテニスプレーヤーであるラファエル・ナダル選手ご使用のシューズです。


写真7

今回参加した約一時間半の酒蔵とギャラリー見学の後はお楽しみの試飲会が待っていました。写真7はその様子でオスボルネ酒造自慢のシェリー酒5種の飲み比べ、アテは若干素っ気ないピーナッツとポテチです。でも流行り言葉でいうところの“最高のマリアージュ”をお試しになりたい向きにはスペシャル・デラックス・グルメ酒蔵見学ツアーも用意されていてこちらの試飲会では厳選シェリーと、そのアテとしてはOsborne社グループに属する5J社の最高級イベリコハムなども提供されるとか。
 マドリードから高速鉄道で4~5時間余り、セビリアからは車で1時間少々の距離なのでスペイン、アンダルシアにお越し際にはお勧めの寄り道です。特に左利きの方には。

Toro Gallery ・ Bodegas de Mora OSBORNE
Calle de los Moros,7  El Puerto de Santa María 11500 (Cádiz) ESPAÑA
*余談ですがスペイン語で雄牛はtoro トロ、牝牛は vaca バカ です。

特派員

  • 山田 進
  • 職業スペイン語・日本語通訳

スペイン政府より滞在許可と労働許可を頂き、納税・社会保険料納付をはじめて早37年。そろそろシルバー人材センターへの登録も視野に入った今日この頃、長い間お世話になったこの国のことを皆様にご紹介できることを楽しみにしています。

山田 進の記事一覧を見る

最新記事

おすすめ記事

リポーター

最新記事

おすすめ記事

PAGE TOP