Trackworkとは、電車の線路の点検や工事などのために、週末を中心に一部の電車が運休になること。シドニーでは珍しいことではなく、週末に出かけようとすると、いつものように電車に乗れず、途中から代替バスに乗り換えなければならないことがあります。
先週末、まさに私はその洗礼を受けました。
その日は、書道のワークショップの仕事で、電車で約1時間かかるショッピングモールへ向かう予定でした。ところが、運悪く私が利用する路線がTrackworkの対象に。電車が途中で止まり、そこからバスへ乗り換えることになりました。
「少し時間がかかるくらいかな」と思っていたのですが、実際にはなんと、通常なら1時間ほどで到着するところ、約3時間もかかってしまいました。
乗り換えのために駅で待ったり、代替バスに乗ったり、また別の電車に乗り換えたり……。目的地に着く頃には、ちょっとした小旅行をしたような気分でした。
道のりは大変でしたがワークショップは、とても有意義でした。
今回体験していただいたのは、「墨流し」という日本の伝統的なアートです。
墨流しは、水の上に墨を流し、その模様を紙に写し取って作品を作る技法です。水の動きや墨の広がりによって、毎回違った模様が生まれるため、同じものを二度と作ることができません。
参加された皆さんも、墨が水の上でゆっくりと広がり、思いもよらない美しい模様になっていく様子を楽しんでくださいました。そして、紙に模様を写し取る瞬間には、「わあ!」という歓声が上がることも。
完成した作品は、まさに世界にひとつだけ。
同じ材料を使っていても、一人ひとり違う表情の作品が出来上がります。自分で作った作品を嬉しそうに眺めている参加者の方の表情や、出来上がった作品の写真を撮ったり『気に入った』と言ってもらえると、時間をかけて来た甲斐もありました。
シドニーでは、日本文化を紹介する機会が少しずつ増えています。書道や墨流しのような日本の伝統文化を、ただ「見る」のではなく、実際に手を動かして体験してもらうことで、日本文化をもっと身近に感じてもらえるのではないかと思っています。
シドニーの週末のTrackworkは、毎回本当に悩みの種です。どうして夜中に作業しないのかなと思ってしまいますが、それは日本が当たり前のように運行している便利な交通手段に慣れてしまっているからかもしれません。夜中に働く人のことを配慮したり、夜中に働くと賃金が2~3倍になるシドニーでは企業側も難しいのかもしれません。
これからもTrackworkとは上手に付き合うしかないようです。



