• 2026.09.02
  • ヒッピータウンで受け継がれる伝統のキャンドル
ニューサウスウェールズ州北部、バイロンベイから車で約1時間。山あいにある小さな町「Nimbin(ニンビン)」は、オーストラリアを代表するヒッピータウンとして知られています。
そんなニンビンで50年以上作り続けられている「Nimbin Candles(ニンビンキャンドル)」の工房を訪ねてきました。
プロフィールにも書いていますが、実は私も趣味でソイキャンドルを作っています。大豆由来のソイワックスは低い温度で溶けるため、チョコレートを溶かして型に流し込むような感覚で安全で簡単に作れますが、一方、ニンビンキャンドルに使われているのはパラフィンワックス。パラフィンというと石油由来というイメージから煙や燃焼時のことを心配する方もいるかもしれません。しかし、ニンビンキャンドルでは食品グレードの高品質なパラフィンワックスを使用しており、添加剤に頼らず、煙が少なく美しく燃えるキャンドル作りを続けています。
ニンビンキャンドルが誕生したのは1973年。きっかけとなったのは、今から53年前に開催された「アクエリアス・フェスティバル」でした。
このフェスティバルは「オーストラリア版ウッドストック」とも呼ばれ、芸術や音楽、演劇、ワークショップ、持続可能な暮らし、そしてコミュニティづくりをテーマに開かれた歴史的なイベントです。
フェスティバル終了後も多くの人がこの地に残り、空き店舗や土地を購入してコミュニティを築き始めたことで、ニンビンはアートやオーガニック、自給自足のライフスタイルを大切にする町へと発展していきました。現在も町を歩くと、その自由で穏やかな空気が色濃く残っているのを感じます。
当時、フェスティバルではテントやキャラバンで生活する人が多く、煙が少なく長時間燃え続けるキャンドルが求められました。そこから生まれたのがニンビンキャンドルです。以来50年以上、一つひとつ手作業でキャンドルを作り続けています。ニンビンキャンドルの大きな特徴は、何度もロウを重ねて形を作る「ディッピング製法」。さらに、世界でも珍しい水力で動くディッピング装置を今も現役で使い続けています。
工房はショップと同じ敷地内にあり、実際に職人さんがキャンドルを作る様子を見学できるのも楽しみの一つです。


私が前回訪れたのは約10年前。久しぶりに訪れると、工房は当時と変わらない姿のままで、そして入口には、以前もいた同じ猫がいました。変わらない風景に、思わずほっとした気持ちになりました。
店内に入ると、色とりどりのキャンドルがずらりと並びます。大量生産された製品とは違い、一つひとつがこの場所で丁寧に作られていると思うと、自然と愛着が湧いてきます。


ひときわ目を引くのが、長年灯されたロウが幾重にも重なってできたキャンドルタワー。まるで自然が作り出したオブジェのような迫力があり、ニンビンキャンドルを象徴する存在です。
そして、私が「ニンビンキャンドル」と聞いて真っ先に思い浮かべるのが、色とりどりのロウを閉じ込めたピラミッド型キャンドル。灯しても飾っても美しく、エッセンシャルオイルで優しく香り付けされた、ニンビンらしさが詰まった人気のキャンドルです。今回プラミッド型のペパーミントの香りのキャンドルを購入しました。火をともすとほんのりミントのいい香りが漂います。


他にも、定番のスティックキャンドルから動物の形をしたキャンドルや、ちょっとおもしろい形のキャンドルまで色々あります。
現在のオーナーは、2004年に事業を引き継ぎ、ご夫婦でファミリービジネスとして伝統のキャンドル作りを受け継いでいます。この先もニンビンキャンドルが大切に受け継がれ、長く愛され続けてほしいと願っています。
ニンビンは山あいにある小さな町で、とても個性的な雰囲気があります。初めて訪れる方は少し驚いてしまうかもしれません(笑)。最初はニンビンをよく知る人と一緒に訪れると、より安心して町の魅力を楽しめると思います。ニンビンを訪れた際は、ぜひこのキャンドル工房にも足を運んでみてくださいね。

特派員

  • 菅沼 千栄子(旧姓 名倉)
  • 職業会社員

2000年に渡豪。日系旅行会社勤務等を経て、2014年から現地建設会社に勤務。休日は、趣味の一つであるソイキャンドル作りやビーチウオークを楽しんでいます。当地のレアな生活情報をお伝えしたいと思います。

菅沼 千栄子(旧姓 名倉)の記事一覧を見る

リポーター

PAGE TOP