• 2026.07.30
  • ブログ・リグーリア―海中菜園と、地域に広がる共同農園
サステナビリティやオーガニック製品への関心がますます高まるなか、リグーリアでも共同農園や地元農家による取り組みが注目を集めています。
ここリグーリアには、スキューバダイバーしか訪れることのできない、一風変わった菜園があります。
リグーリア州のノーリ(Noli)という町のすぐ目の前に、特許を取得した海中菜園が整備されています。
ここでは水中でバジルやレタスが栽培されており、未来の農業につながる新たな可能性が探究されています。
町の沖合には、「ネモのガーデン(Orto di Nemo)」と呼ばれる施設があり、海面下6〜8メートルの深さでバジルやレタスが育てられています。
イタリア発のこの実験はすでに成果を上げており、海外の記者たちからも大きな注目を集めています。
このバイオスフィア(生物圏)を用いた取り組みを始めたのは、ダイバー向けの機材やサービスを手がける家族経営の会社でした。 同社は、海中の環境が農業に非常に適しているという点に着目しました。海中は温度が一定に保たれ、湿度も十分にあるうえ、虫や寄生生物が新芽や苗に寄ってくることもないため、農薬を使わずに野菜を栽培することができます。そこで、次の試みとして透明なプラスチック製の構造物を海底に固定し、その内部に空気を満たしたバイオスフィアを設置しました。このドームの中で、海中栽培が少しずつ実現に近づいていったのです。
数年にわたる実験と、いくつかの作物での失敗を経て、ネモのガーデンは現在の姿へと発展したようです。現在では5つのバイオスフィアが設置されており、内部は摂氏約26度、湿度約80%に保たれ、植物の成長を促す高濃度の二酸化炭素で満たされています。
現在、ドームの中で栽培されている野菜は、まだ商業化されていません。
カニやタコが作物の近くまでやって来ることもありますが、野菜にはまったく触れていません。一方で、タツノオトシゴはバイオスフィアの下に繁殖や子育てに適した環境を見つけました。つまり、この取り組みは海の生態系に悪影響を及ぼすどころか、むしろよい影響をもたらしているといえます。
ネモのガーデンの特許を保有するオーシャン・リーフ・グループ(Ocean Reef Group)は、プロジェクトのあらゆる面をさらに磨き上げるため、実験を継続する意向です。また、同社ではイチゴやエンドウ豆、さらにはキノコ類へと栽培対象を広げています。

菜園といえば、リグーリアでは、自治体が住民に共同農園を提供する取り組みも数多く行われています。

沿岸部や内陸部にある小さな町の自治体では、農村地域の再開発が進められており、整備した土地を共同農園として地域に還元する動きが広がっています。 このプロジェクトには2つの目的があります。ひとつは、景観や環境を再生し、土地を再び利用できる耕作地としてよみがえらせること。もうひとつは、身体活動やレクリエーションを通じて、支援を必要とする人々やその家族の生活の質を高め、地域社会との関わりや社会参加を促すことです。
私も、いくつかの共同農園を訪れたことがあります。
中でも特に印象に残っているのは、協生農法を実証している農園です。協生農法とは、耕起をせず、農薬や肥料も使わない自然農法のひとつです。ここでは、受付施設を併設した公園内の300平方メートルの敷地が、協生菜園へと生まれ変わりました。この革新的な農法では、2種類以上の作物を混作することにより有機野菜を豊富に収穫できるだけでなく、時間やエネルギー、水の節約にもつながっています。この取り組みは、将来的に地域の新たな産業として発展することが期待される事業の創出を目指すスタートアッププロジェクトの基盤となっています。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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